黒電話からの、「世界中の誰よりきっと」
子供の頃に欲しかったもの…
それは、家の電話!
もちろん、子供の頃からうちには電話はありました。
でも、かなり長い間、丸い数字の穴に指を入れて回し、それが戻るとまた次の数字を回す、あの黒電話だったのです!
80年代から90年代にかけて、家電話というのはとても進化してたと思います。
保留がついたり、留守にしていても伝言を録音できる留守番電話、FAX機能がついたもの、とにかくいろいろな機能がついて、外見も、回る数字も無くなって、あの特殊な形もなくなり、薄くなったり、光ったり、すごく進化していました。
でも、うちの家族は特に電話に興味がなかったのでしょう、誰も電話について言及するものもいず、壊れることもない黒電話はかなりの長い時代を生き抜いてきたものと思われます。
かけるときはジーコ、ジーコと丸い数字の所を回し(正式名称がわからない…)、かかってくるときは「ジリリリリリリン」と大きな音で廊下に響き渡りました。
それで不自由しないんだから、わざわざ買うこともない、と思えるのは、今、不要なものはいらないとわかった大人だからでしょう。
でも、思春期まっさかりの、10代の少女だった自分には、恥ずかしいものでした。
まず、保留できない事に恥ずかさがありました。
友達からの電話。
遊ぶ約束だとか、明日の学校で必要な物の連絡だとかそんな内容なんだけど、かかってきた電話をの受話器をゴトリと置いて、
「◯◯〜、△△ ちゃんから電話〜!」
みたいな家族の声も聞こえてるし!みたいな恥ずかしさが、子供なりにありました。
だから、電話がくるような時間の電話は自分が出る!みたいなのがありました。
それから、何があったのか、とうとううちにキャッチホン、留守電機能、そしてそして子機がつく、最新電話が導入される日が来ました!
小学校高学年の時だったでしょうか。
画期的な電話機、そして待ち望んだ保留機能‼︎
私は舞い上がりました。
そして、保留中の音楽なんですが、
ビートルズの「イエスタディ」でもなく、クラシックでもなく、
世界中の誰よりきっと
若い方は知らないか…WANDSが作って中山美穂と一緒に歌った名曲ですよ!
世界中の誰よりきっと / 中山美穂 & WANDS - YouTube
流行っていたんですね、電話が発売された時に。
だから、かかってきた電話を保留にするのも嬉しかった!
でも、少し過ぎると、少し前のヒット曲が、異常に恥ずかしいのです。
今だったら、「名曲っしょ、WANDSだよ?!」とか言えるけど、
当時は移り変わりが早いし、なんてったって
私は思春期まっただ中だったから!!
去年のヒット曲がかかるなんて…恥ずかしい!!
それをクラスの誰かに知られたら…まじで恥!!
特に、中学を卒業して、高校生になってからが、もう本当に苦しんでいました。
J・POPが全盛の90年代中期に、私はコーネリアスやオザケンなどのちょっとアウロトー系の音楽にはまり、ヒットチャートを賑わしている音楽に、嫌悪感すら抱いていたことがあったのです。(スピッツは好きでしたけど)
そんな私のうちの電話の保留音が…中山美穂&WANDSなんて…許せない!!
みたいな。
ちなみに、当時は携帯電話というものはまだまだ、高校生が持つものではありませんでした。
ポケベルですよ!!JKのデフォルトは。(こんな言葉ももちろん使われていません)
だから、ポケベルを持つ(借りていたのです、確か)ようになってから、本当に家の電話の保留音に悩まされることが無くなって、高校生の私の生活から不安が取り除かれたのでした。
ポケベル、9文字の中に、JKの不安を閉じ込めたのです。
それからの生活、家の電話の事など考えたことがあったかしら。
息子が来年小学生になるにあたって、やっぱり固定電話があったほうがいいかな、とか考えていますけど。(今はないのです)
子供の頃欲しかったもの、思春期の当時の自意識過剰な自分は、家の電話が欲しかったのでした。
ちなみにwikiを見たら、
1995年頃に三洋電機から発売された電話機「テ・ブ・ラ・コードるす」の機種の一部で、保留メロディとして使われた。
こ、これだ!